ダニエル・ブリュッヘン先生のマスタークラスを聴講して

先日ダニエル・ブリュッヘン先生のマスタークラスが神田で開催され、6組の受講生の皆さんそれぞれが先生の伝えるイメージを受け取り、少しずつ変化していくのを大変興味深く拝見しました。アンサンブルではお互いが肘で相手を感じ取るように一体感を持つことや、お互いと音程を合わせる前にまずは自分をチューニングすること(自分の楽器をよく知り、どれくらいの息で吹くとどんな音が出るのかを知ること)の指導があり、個人レッスンではタンギング・指の動き・息使いのどの要素が演奏の導き手になるかを常に考えましょう、というお話もありました。豊かな比喩表現を用いて生徒さんを導いていく様子はとてもインスピレーションを受けるものでした。

ダニエル先生とは28年ぶりの再会となりましたが、もちろん、覚えていらっしゃいませんでした!遠い昔に一度だけマスタークラスを受けた生徒を覚えているはずがありませんね。でも「10年ほど前に先生のボブ・マーヴィン作のルネサンス・コンソート・セットを中古でお譲りいただいた者です」と言うとすぐに思い出してくださいました。「すばらしい響きで大切に使っています」と伝えるととても嬉しそうでした。

ダニエル先生のマスタークラスを受けたのは、アメリカの大学でリコーダーを本格的に習い始めて2年ほど経った1998年頃の秋、Amherst Early Music Workshopの講習会でした。 その時フランス・バロックの曲をレッスンしてもらい、とにかく息を保つようにと言われたことを鮮明に覚えています。細かい装飾に気を取られて本来の旋律を運ぶことがおろそかになっていたのでしょう。講習会のあと、私のアメリカの恩師グウィン・ロバーツ先生がダニエル先生と私を地下鉄の駅まで送ってくださることになりました。3人でショッピングモールに立ち寄ったあと地下鉄の駅で降ろしてもらい、地下鉄を数駅ご一緒して、ダニエル先生は空港へと向かわれたのでした。Amherstへ先生が教えに行ったのはその一度きりとのことで、とても貴重な機会だったのだと改めて知りました。私がオランダのハーグ王立音楽院で学んでいたのは2004年の夏までで、ダニエル先生はその年の秋からハーグで教え始めたので、すれ違いだったということも知りました。

リコーダー界のスーパースターの一人であるダニエル先生と日本でお会いできて大変光栄でした!5月29日(金) 武蔵野市民文化会館で開催される無伴奏リコーダー・リサイタルは完売なので私は聴くことができませんが、素晴らしい音の世界が広がることでしょう!ご盛会をお祈りしております。

通訳を担当した野崎さんも一緒に